水面に浮かぶ古き書庫

いろいろ書いたりとか

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#16-2

#16 絶望。 2.終わる世界 ***2039/4/2*** 覚めることの無い悪夢に堕ちたと、この時思った。その悪夢は予見することも、避けることも、防ぐこともできなかった。だがそれは、たった数行の文章、たった数十文字に過ぎない文言から始ってい…

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#16-1

#16 絶望。 1.禁じられた言葉 男は、扉を開いた。それは本来、開く筈の無い、外からは開かれる予定の無い扉だった。何故なら、扉はその内に潜む者の手によって巧妙に隠蔽され、誰の眼にも触れることは無かったから。 男は白衣を纏っていた。年は若く、…

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#15-5

#15 天使。 5.人間の価値 「十歳の誕生日。その日に私は殺された。兄上様の手によって」 ラツィエルは瑞穂を、その澄んだ瞳を見つめながら、ゆっくりと語った。腰まで伸びた銀髪に、雪の粉が舞い降り、雫となって頬や首筋を伝うと、白と紺の巫女装束を…