水面に浮かぶ古き書庫

いろいろ書いたりとか

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#15-4

#15 天使。 4.喪失の子羊 風は感じない。そのせいか、雪はゆっくりと、まっすぐ闇の中を落ちて行く。白い首筋に、肩に、握り締められた手の甲に、綿のような雪が降り、それは触れた瞬間にとろけて肌を濡らした。「行こうか、キーちゃん」 瑞穂は傍らに…

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#15-3

#15 天使。 3.白炎の堕天使 ベランダから見上げる夜空に、白い霞が浮かび上がっては消えていく。星は瞬かず、月も闇に食われた空の下では、その輪郭は、より一層はっきりと認識できる。 塚本大樹は、無言のまま深く息を吐き、眩しげに目を細めた。軽く…