水面に浮かぶ古き書庫

いろいろ書いたりとか

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#9-4

#9 侵蝕。 4.妖獣の叫び 「そうかい……。君は、そんなに私の邪魔をしたいようだね」 シグレは、それだけ言うと、黙ったまま、白い歯を覗かせた。 瑞穂は段々と焦れてきた。胸の辺りが灼けるように熱い。息をするのが苦しくなってきた。焦らない方がいい………

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#9-3

#9 侵蝕。 3.少女の自我 「あなたの妹は……巻き込まれたのよ」 ラジオ塔、一階の中央フロアのソファに腰掛け、射水 氷は断言した。 壁に掛けられた時計が、11時47分と、時刻を示している。近くでは、社会見学であると思しき子供達が大勢来ており、耳…

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#9-2

#9 侵蝕。 2.或る計画 暗い部屋。もう、朝になっている筈なのに、薄暗い部屋。 妹は、そこにいた。瑞穂の妹……そう、百合ゆかりが。 うっすらと目を開けて、ゆかりは、すぐに辺りの様子をうかがった。薄暗いのと、頭がぼんやりしているのとで、よく見えな…

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#9-1

#9 侵蝕。 1.消えた妹 遠い空の海で、笑みもなく佇む君。 波に揺られて、風と戯れて、時は漂う。 私が、舞い降り、話しかけても。 壊れた、眼差しのまま、何も言わないのは、どうして? 割れた硝子を見つめ、自分を眺める君。 嘘でかためて、幻想に泳い…