水面に浮かぶ古き書庫

いろいろ書いたりとか

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#13-1

#13 断罪。 1.終わり無き罪 辺りは干からびていた。 日の光は、容赦なく降り注いでいる。 水を失い、木も草も萎れ、黒々とした岩の露出だけが目立つ。荒んだ大地は、まさに荒野と呼ぶに相応しく、生き物の気配さえも消え失せていた。 焦げるような静寂…

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#12-4

#12 悲歌。 4.孤独な二重奏 「あなたの悲しみは、私を殺す――それであなたの悲しみが消えるの?」 ミカンの言葉に呼応するように、カイリューは破壊光線を発した。凄まじい威力の衝撃波が、ミカンの服を引き裂きいていく。「リンちゃん! 破壊光線!」 …

ポケモン二次創作小説『刹那の夢と嘘の玩具』#12-3

#12 悲歌。 3.見えない殺意 ミルは月の光を背に向けて語った。 瞼を閉じれば甦る、炎の呻きと稲妻のように鋭い閃光。沸き上がる煙の中に見えるのは、焼け爛れ助けを求める人間の姿だけ。「あたしは、あの男を追いかけてグラシャラボラスに忍び込んだ――…